運転中の眠気を覚ます方法
運転中に眠い時にはどうすればよい?
運転免許を取るときは、それなりに緊張していたはずなのに、気がつけば当たり前のように車を動かしている日々。ハンドル操作もブレーキやアクセルの操作も、何も考えずとも身体が自然に動いてくれる。鼻歌を歌ったり、考え事をしたり。時にはわき見をしたり。免許を取ってから10年も20年も経つと、そんな方も多いのではないでしょうか。
人の「慣れ」や「経験」というのはすごいもので、運転に限らずとも、初めはおそるおそるしていたようなことでも、慣れれば軽々とできるようになっていることは多々ありますが、特に「運転する」という行為は、初めの頃の緊張感と、慣れてしまってからの緊張感のなさのギャップは大きいものがある気がします。ロックを解除、ドアを開けてシートに座り、ベルトをしてエンジンスタート、サイドブレーキを戻し、ギアをドライブモードに入れて、さっと安全確認したら、おもむろにアクセルを踏んで出発、流れるような動作でことさら何も考えずに出来てしまう一連の動作。
本来ならば、今自分が動かしているのは何トンもある「鉄の塊」であり、一歩間違えば、一秒でもタイミングがずれれば、思わぬ大きな事故にもつながりかねない、という気持ちで、「自分は今とても重要な行為をしているのだ」という意識で常にいなくてはいけないはずですが、「慣れ」や「経験」はその本来の大切な意識をおろそかにしがちな状態にしてしまいかねません。
仮に時速60キロメートルで走っているのならば、1秒間に進む距離は約16.7メートル、壁にぶつかったときの衝撃は14メートル(ビルの4~5階相当)の高さから落下した時と同じ程度といいます。車が大きくて重ければ、もしくはスピードがもっと早ければ、その衝撃はさらに大きなものとなり、何かあった時の周囲に与える影響や自分自身へのダメージは当然かなり大きなものになってしまいます。
にも関わらず、日常的にそんなことをいちいちイメージしている人はほとんどいないでしょう。よく言えばすべてスムーズに、悪く言えば大事なことも意識もせず、気がつけばあくびをしながら運転していたり・・・。特に道が単調だったり、景色が変わり映えしないと、どうにも眠くなってしまう。緊張感との対極です。前の日夜更かししたり、眠りが浅かったりして寝不足な時はもちろんのこと、十分な睡眠をとっていても、昼飯の後やぽかぽか陽気の日、単純な作業や風景やリズムが続く時、人間は眠くなってしまいがち。高速道路や雪が降っている日の道路など、万が一何かあったら大変な状況でこそ、いつもよりさらに眠くなったり。
もはや眠りの神の戯れなのではないかとさえ思えてきますが、実際に何か起きた時のことを考えたら、そんなことは言ってられません。
「眠い」というのは、「身体や脳が休息を欲している」というサインでもありますので、本来的には昼間でもなんでも、眠くなった時には眠ってしまうのが一番ですし、「身体の為にも心の為にも昼寝はいい」というのは多くの研究者や専門家が言っていることで、昼寝をできる状況にあるならば、そして昼寝ができるスペースがあるならば、是非とも昼寝をしたいところです。眠い時には15分から30分ほどの仮眠を取った方がパフォーマンス的にも良くなることも知られています。
ですが、車を運転している時は中々そうはいきませんよね。用事がなくても運転中に突然寝るわけにはいきませんし、急ぎの仕事や用事がある場合、人との約束がある場合、時間が決まっていてどうしても寝ていられない場合などなおさら寝ていられません。
今日は、そんな「眠いのに、運転しなくてはいけない」という、危ない状態を少しでも早く確実に脱するために、どうすれば良いのか。どうしても運転中に眠くなってしまった時、どうするのが良いのか、3つの方法をご紹介します。
運転中、どうしても眠い時にどうすればいいのか?7つの方法と、逆にしないほうがいいこと
〇 大声で歌う 叫ぶ
これは一人で車を運転している時限定の対策かもしれません。もしくは理解のある友人知人、またはパートナー。だとしても叫ぶ行為はドン引きされてしまう可能性もありますが、大きな声で歌うのであれば、一緒に歌うこともできますし、より早く目が覚めるかもしれません。歌うという行為は、運転中にはあまり動かさない脳の部位や身体の部位を使うので、それが刺激となり目が覚めます。歌を歌う程度の脳の使い方であれば、運転に支障はないですし、喉を使って声を出す行為は呼吸にもつながることで、酸素が脳に取り込まれれば眠気も少しは吹き飛びそうです。
〇 カフェインを摂取する
運転している時の眠気対策としては、もっともメジャーな方法の一つかもしれません。眠い時にコーヒーを飲む、お茶を飲む、ココアを飲む、という方も多いでしょう。ここで飲み物100ミリリットルあたりのカフェイン含有量を比較してみると、一番多い物から「エスプレッソ 約200ミリグラム」、「玉露 約150ミリグラム」、「コーヒー 60ミリグラム」、「レッドブル 30ミリグラム」、「紅茶 20~30ミリグラム」、「煎茶 20ミリグラム」「ウーロン茶 20ミリグラム」、「ほうじ茶 20ミリグラム」、「玄米茶 10ミリグラム」、「番茶 10ミリグラム」、「そば茶、麦茶、ハーブティ 0ミリグラム」となっています。
カフェインは適量を摂取すると頭がさえたり、眠気がなくなったりといった効果がありますが、摂取しすぎると気持ち悪くなったり、だるくなったり、眩暈や震え、下痢、腹痛などの症状に見舞われることもあります。さらに急激に大量に摂取すると「急性カフェイン中毒」にもなりかねません。
そもそも、「眠い」時にカフェインで強制的に目を覚ます、ということは身体にとって負担が大きく、続けていると後で大きな影響が出ることもあるのでお気を付けください。
また、カフェインの摂取の仕方によっても効果の出方が変わり、眠気覚ましなどのためには30分ほど前に摂取するのが良いとされています。運転中に眠気を感じてから摂取しても少し時間がかかる、ということは頭に入れておいても良いかもしれません。運転中に休憩を取って食事をした後、この後眠くなりそうだなと感じたら早めにカフェインを摂取することをおすすめします。
〇 ガムをかむ
これもコーヒーなどでカフェインを摂取するのと同様、多くの方が試されているであろうメジャーな眠気対策。ガムの中に含まれるガラナやメントールなどの眠気覚まし効果のほか、嚙むことで脳が活性化、血の流れが良くなって目が覚めるといわれています。昆布やするめなどを噛み続けることもにも同様の効果があり。
〇 5分仮眠する
「運転中に眠い時にどうすればいい」というより「眠気」そのものへの対策ですが、本当に眠い時、どうにも危ない時は「仮眠」をするのをおススメします。とても急いでいる時などは5分の時間も勿体ない、一刻も早く着かなくてはいけないという気持ちが強く、「気が急いている」状態ではありますが、だからこそ5分の仮眠がおススメなのです。
人は気が急いているだけで事故につながりやすくなるもの。眠ければなおのこと。無理やり眠気を我慢することで、注意力が散漫になったり何かを見落としたりして、結果的に大きな事故になってしまった場合を想像してみてください。長い人生で考えたとき、5分遅れるのと、事故を起こしてしまう、どちらが自分にとって選択すべきことなのか。
〇 歯磨きをする
高速道路や幹線道路を走っている時で、SAやコンビニに数分寄ることが可能であれば、歯を磨く、というのもおすすめ。出来れば歯磨き粉をつけて、丁寧に磨いてみてください。ついでに冷水で顔を洗うと目覚め効果も高まります。
〇 ハッカ油を使う
ハッカ油をおでこに塗ると眠気覚ましになります。鼻の下に塗ると強烈ですが眠気覚まし効果もアップ。首筋や手首に塗るのもあり。肌に塗ることに抵抗がある場合はティッシュペーパーなどにしみこませて、そのにおいを時々嗅ぐという方法も。
〇 メンソレータムを鼻の下に塗る
メンソレータムもハッカ油同様目覚まし効果があります。「目の下に塗る」方法も知られますが、運転中には強烈過ぎて視界や注意力に影響を与えてしまう場合も。鼻の下に塗るのが眠気覚ましとしては効果あり。
× 硬い物や大きなものを食べる
運転中に眠くなった時の対策として、コーヒーを飲んだり、ガムや飴を食べたりする方法がよく知られていますが、さらにもっとしっかりした食べ物、硬い物や大きなものを食べることにより積極的にあごを動かし、咀嚼し嚥下するという行為をすることで、少しでも目を覚まそうとする方法です。これも「ガムをかむ」のと同様、運転しているだけでは動かさない部位を動かすことで脳に刺激を与え、結果目が覚めるというやり方。
ただ、この方法は、食べ物を摂取することで血中の糖分濃度が上がり、今度はそれを下げようとホルモンが分泌されて、と急な血糖値の変化を誘発して逆に強い眠気を覚えたり、だるさを感じやすくなる可能性も高くなる、もろ刃の対策。
さらに運転中にモノを食べる、という行為は注意力が散漫になる上、食べ物をこぼしたり落としたりした結果、一歩間違えれば危険な運転にもつながりかねず、あまりオススメはできません。眠いからとSAなどで休憩をした際、食事をお腹一杯食べてしまうことも、「血糖値の急な変化が起きる」理由であまりオススメできない方法です。
まとめ
運転している時に眠くなったらどうすればよいか、その方法をご紹介しました。中でもおすすめはやはり仮眠をとること。「当たり前のこと、誰でも知っている」という声もあると思いますが、「急いでいるけど本当に眠くて仕方ない」という正常な判断がしにくい状態で、この当たり前のことが中々出来なかったりするものです。
「仕事や約束などで時間がない時にはどうにもできない」と思われるかもしれませんが、果たして本当にそうなのか、それが、自分自身や周りの人の命や身体に危険を及ぼすほどの意味や価値があるのかどうか。
「ブレーキ痕がなかった」等が記事にも書かれていたりしますが、運転中の居眠りで事故になった場合には、ブレーキやハンドル操作などでの危険回避行動が行われないこともあり、居眠り以外の原因でおきる他の事故と比較すると、重大事故になる可能性が数倍高くなるといわれています。
自分や周りの人、そして周囲の車や人に危険が及ぶ上に、危険運転などで処分される可能性もあります。(道路交通法第六十六条 過労運転等の禁止・・・何人も、前条第一項(酒気帯び運転等)に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。)(違反点数 25点 行政処分 免許取り消し 罰則 3年以下の懲役または50万円以下の罰金)
そもそも論ですが、5分くらい仮眠をして遅れたところで、何も問題のない寛容な社会であるのが一番ですよね。ぜひ、そんな世の中になってほしいものです。
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