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名物に旨い物なし!?ご当地グルメ、名物料理を有名店で食べたけどイマイチだった・・・?

「地域の名物料理を有名店で食べたけどイマイチだった・・・」

そんな経験、皆さんも一度や二度はしたことがあるのではないでしょうか。

観光やビジネスなどで、どこかの都市や町や村を訪れた際には、ことさら「グルメ」とか「食いしん坊」というわけではなくとも、その土地の有名な郷土料理やB級グルメ、ご当地グルメ、ご当地スイーツといった食べ物、料理、お菓子、おやつ等はやはり試してみたいもの。特に、テレビや雑誌、インターネットで見聞きしたり、友人、知人などから「美味しいよ!」「美味しかったよ!!」とオススメされれば、場合によっては数十分~1時間以上並んだり、わざわざさらに遠くまで車を走らせたりしてでも、実際に食べてみたいと思うのが人情かもしれません。

しかし、そうしてそれなりに苦労して、ようやく目的のグルメにありついても、「ん?」「???」となる場合も。

あまりに有名店、人気店過ぎて、混みすぎているためか、サービスがおざなりだったり、スタッフの態度が失礼だったり、なんて場合もあって、いくら味が良くても量が多くても、少し(かなり)げんなりしますが、逆にサービスや店員さんの人柄がとてもいいのに、味や量で「あれ??」となってしまう場合もあり、遠くから訪れている分、その反動も強烈であまりの残念さにがっくり来てしまったりしますよね。

今日は、そんな残念体験、がっくりきた経験を元に、その理由と、もし回避できそうであれば極力回避する方法を模索してみます。本当は美味しいのかもしれない、もしくは美味しい店(美味しいもの)もあるかもしれないのに、「名物に旨い物なし(名物といわれるものは、えてしてあまり美味しくない)」と、一刀両断に切り捨ててしまうのも、勿体ないかもしれません。

「イカ」が有名な場所の、有名な店に行って食べたけど、あんな程度なの!?」

ご当地グルメ、郷土料理、B級グルメといっても、海産物から野菜、肉類、麺類、粉ものなど多岐にわたりますが、肉類や野菜などと比較しても、海産物は新鮮さが「命」の部分もあり、特に現地に足を運んで食べてみたいグルメの一つ。少し時間を置いたほうが美味しくなるともいわれる白身魚などに対して、ウニやホタテ、エビ、北寄貝などは新鮮であればあるほど「美味しいイメージ」のある魚介類であり、実際に産地(水揚げ地)で頂くと、いつもとはあまりにも異なる、甘みの強さや風味、食感などに驚愕したり、心から感動することがあります。

そんな魚介類の一つ「イカ」。イカに限らず、その他の食べ物にも「ある程度」共通することかもしれませんが、新鮮さや個体差が大いに味に関係する「イカ」は、特に食べる時期やお店などによって、その味わいは大きく異なります。そんなイカのグルメに関して、今まで周囲で耳にした話を例に挙げてみましょう。

「イカが有名な地域の有名店に行ったけど、いまいちだった・・・。」という残念な体験をされた方の話を実際の知り合いや友人を含め、何人かに聞いたり、そういった口コミやブログを目にしたことがことがあります。その中でも比較的よく聞くのが「呼子のイカ」に対する評価でしょうか。(念のため、初めにおことわりをしておくと、「呼子のイカ」は時期を違えて過去に現地で何度か体験しましたが、個人的にはとっても美味しかった記憶です。)

知らない方のために補足すると、「呼子」は佐賀県北部に位置する町で、福岡から車で1時間20分ほど西に走った場所にある港町です。「呼子港」で水揚げされる「ヤリイカ(ケンサキイカ)」「ミズイカ(アオリイカ)」「ササイカ」などのイカが大変有名で、新鮮な活イカを活け造りにしたものは「呼子のイカ活造り」「呼子のイカ」として、佐賀名物・九州グルメの中でも広く知られているのです。

透明感のある美しい見た目とインパクトのあるそのボリューム感で有名な呼子のイカは、唐津など近隣に観光に訪れた人のみならず、わざわざ「呼子のイカ」を食べに呼子に行く人が多いほどに知られた存在であり、人気のご当地グルメ、呼子・唐津観光の目玉となる代表的な食べ物。「コリっ」とした食感と甘み、強い風味がとても印象的な絶品グルメです。

では、なぜそんな絶品グルメに、不評が混じることがあるのか。

まず、考えられる理由の一つとして、人気となってしまった食べ物の宿命というか、「あるあるな話」として、やはり初めて食べる人の期待値が高く、ハードルが最初にかなり上がってしまっている、ということ。

そもそも見た目にも大きなインパクトのある大きな「呼子のイカの活け造り」は、イカそのものが高級かつ大ぶりなため、仕入れの単価が安くない上に、手早くさばいて美しく盛り付けるため、熟練の職人(料理人)の技術と手間暇も必要であり、当然提供される際の価格はそれなりに値が張るものとなります(いか活造りのついた定食が3000円~が相場)。

期待値が上がっているうえに、値段も高い、必然的に、客はそれに見合うだけのものを欲するわけです。もし客の期待していた味や満足感と、実際の「体験(品物)」に乖離が生じると、「思っていたほどではなかった・・・」「あんまりだった・・・」という反応になってしまうのかもしれません。

また、一般論として、養殖ではない天然ものの海産物の宿命でもありますが、天然物であるがゆえに時期や個体差などにより品質に多少のばらつきがある可能性もありそうです。これはもちろん呼子に限ったことではありません。ある地域で特定の海産物の人気がある場合、その需要があるがゆえに、必ずしも最も旬の時期の、厳選された「品もの」ばかりではなく、時期外れ等で多少品質が基準を満たしていなくても、需要を満たすために提供してしまう店なりが存在してしまう可能性があってもおかしくありません。(もちろん、地域によっては組合や店などで厳密に品質を管理しており、そういう地域の食材は当然、質にバラツキがなく安定したものとなります。)

これは、ある意味私たち客側の問題でもあるかもしれません。旬の時期以外にその場所を訪れても「せっかく来たのだから」と、その地域の特産品を食べたいと願ってしまうことは、ありがちなケースです。そんな観光客と、サービス精神(または商売心)として、多少の時季外れでもお客に食材を「提供しよう」「提供してあげたい」もしくは「提供してしまおう」という商売人のやり取り、駆け引き、すれ違いが生んでしまう、残念なケースなのかもしれません。

提供する側に、「本当においしいものを、本当においしい時期に、本当においしい形で提供する」という姿勢があるべきなのはもちろんですが、「おいしくはない時期には提供しない」という姿勢も大切なのかもしれません。また、私たち提供を受ける側も、「本当においしいものは、本当においしい時期に、本当においしく食べる」という気持ち、「旬の時期まで我慢する」という気持ちがあれば、防げる事案なのかもしれません。

個人的にも、(呼子以外の)イカが有名なある地域で、異なる時期に何度もイカの刺身をいただいたことがあり、「本当においしい」と思った時と、「ん~いまいちかな」と思った時があったので、なおさらそのように思います。時季外れに訪れて、いまいちのものを食して、例えば「イカの活きづくり(イカ刺し)が有名な場所の、有名な店に行って食べたけど、別にだった・・・」などというネガティブな感想を一人でも持ってしまうことは大きなマイナスです。当然、仕事でもなければ本人がその地に再訪する可能性は低くなりますし、ネガティブな口コミが広まってしまう可能性もあります。

本当は美味しい筈のものを、「おいしくない時期」に(または)「美味しくない個体」を食べてしまったせいで、その地域やその名物にマイナスな印象を持ってしまうこと、その料理や食材に対して、ネガティブな口コミが一つでも増えてしまうことは、産地としても店としても、とてもマイナスなことだと思うのです。

「海産物」以外の、名物、郷土料理、ご当地グルメに関しては、「旬の時期」は関係はありませんが、お店選びもさることながら、例えばお店に訪れる時間帯や日時を考慮する(混みすぎている時間をさける)だけでも、外れを引いてしまう可能性、残念な体験になってしまう可能性は多少低くなりそうです。

結論

結論としては、提供を受ける側の姿勢として、

◇旬があるものであれば、極力その食材のベスト・シーズンを狙っていく(漁協や観光課などに電話で尋ねると懇切丁寧に教えてくれる場合もあり、その場合、地元の人の教えてくれる情報は信頼できるものが多い)
◇旬ではない時期なら、旬の時期まで我慢する
◇いつも混んでいるお店ならば、できる限りすいている日時を狙って訪れる

いずれもごくごく当たり前のことではありますが、改めてこういったものが肝要となりそうです。実際にはお店側の都合や問題など、客側にはどうにもできないこともありますし、そもそも「好み」の問題もあるので「口に合わない」「好みじゃない」等は致し方ないことですが、せっかくその土地に訪れて、その土地のグルメ、ご当地料理、郷土食、B級グルメなどを食べるのですから、できる限り最高の体験にしたいものですね。