その迫力に圧倒される!その美しさに魅了される!一度は訪れるべき日本の世界遺産「文化遺産編」
日本の世界遺産
日本には文化遺産、自然遺産あわせて世界遺産が現在23件(文化遺産が19件、自然遺産が4件)登録されています(2021年4月現在)。富士山や東大寺、法隆寺など誰もがその名前や存在を知る場所から、世界遺産登録以前は勿論、世界遺産に登録された後もあまり広くその名や存在を知られていない場所まで様々。
そもそも件数だと「23件」ですが、例えば「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録されている熊野古道関連の登録資産は、吉野山、吉野水分神社、金峯神社、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社、那智大滝、那智原始林、大峯奥駈道、熊野参詣道などなど、国宝や重要文化財、天然記念物、名勝を含む30件近くに上りますし、「古都京都の文化財」として登録されている京都の資産は、賀茂別雷神社(上賀茂神社)、賀茂御祖神社(下鴨神社)、教王護国寺(東寺)、清水寺、延暦寺など17か所の神社仏閣や城跡からなっているなど、その総数は膨大な数になります。
それらはいずれも「世界遺産」に登録されるだけの様々な文化的、自然的な価値とストーリーを持っていて、日本人ならば(または日本に住んでいる・日本に滞在しているのであれば)、是非一度は足を運んでみて頂きたい場所がほとんどですが、今日はその中でも特におすすめの場所をご紹介いたします。日本にある世界遺産の9割以上(沖ノ島は世界遺産登録後に一般人は上陸禁止となっています)を訪れて、実際に目で見て肌で感じた編集部のスタッフが選ぶ「一度は行きたい日本の世界遺産」、まずは「文化遺産編」です。
法隆寺
法隆寺
修学旅行で訪れたことがあるという人も多い法隆寺。いわずと知れた日本が世界に誇る木造建築物であり、飛鳥・奈良時代の息吹を今も感じることのできる文化財であり、姫路城と共に日本で最初の世界遺産に登録された場所です。東大寺などのある奈良の中心部からは少し離れていますが、海外からも数多くの観光客が訪れる場所でもあるので、交通のアクセスも悪くなく、おすすめの場所。
世界遺産としては法隆寺と法起寺を合わせた全部で48棟が「法隆寺地域の仏教建造物」として登録されており、そのいずれも見ごたえのあるものです。修学旅行で訪れたことがあっても是非今一度、可能であれば半日~一日ほど時間を取って、余裕を持ってゆっくりじっくりと見て回って頂きたい場所です。
勝連城跡
勝連城跡
「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成資産の一つである勝連城跡は、15世紀に一帯を支配していた按司「阿麻和利(あまわり)」の城(グスク)として知られる所です。建物などは残っていないのですが、城壁が比較的程度の良い状態で残されており城好きにはたまらない場所の一つです。が、そうでない人にもおすすめのポイントがあるのです。
それはこの勝連城が、太平洋に突きだした勝連半島の標高60メートル~100メートルほどの丘陵部に築かれた山城であることにも拠るのですが、その眺望が抜群なのです。晴れた日であれば、色濃い豊かな緑の向こうに透き通るようなマリンブルーの海と抜けるような青空のコントラストが眼前に広がり、まさに絶景。その感動的な風景は、沖縄は勿論、日本の城の眺めとして、トップ5に入るのではないかと思う程です。ヒールのある靴だと登るのは少し大変ですが、是非一度訪れてみて頂きたい世界遺産です。
那智滝
那智滝
「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つである那智滝は那智川中流にある高さ133メートルの滝です。一つの滝としては日本で最大の落差を誇る滝であり、華厳の滝、袋田の滝と共に日本三名瀑の一つにも数えられている滝です。なぜ自然の滝が「文化遺産」の構成資産かというと、この那智滝は滝の麓にある「飛瀧神社」のご神体であり、古くから信仰の対象になっているからです。(本来「那智滝」とは那智山中の那智原始林を流れる渓流に架かる60以上の滝のうち、滝籠り修行に使われた滝の総称であったもの。)
滝の上部には注連縄がかけられ、「飛瀧神社」境内に赴くと見上げるようにして滝の大迫力の姿が目に飛び込んできます。その迫力と一帯を包み込む厳かな雰囲気、そして響き渡る轟音こそは、画像は勿論、映像でも中々伝わりにくい「もの」であり、実際にその場所に佇んで全身で感じてみて頂きたい「もの」なのです。その場所にしばし佇んでいるだけで、世俗にまみれた想念や情動といったものが全て洗い流され、または吹き飛ばされ霧散していくかのごとく感じます。
青岸渡寺と那智滝
温泉津温泉
温泉津温泉
国の重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれている温泉津温泉は、島根県大田市の温泉津湾に面した小さな温泉街であり港町です。温泉としても最高評価を受ける泉質であり、温泉街としても、趣のある鄙びた雰囲気は極上で、とてもおすすめの温泉街でもあるのですが、同時に「石見銀山遺跡とその文化的景観」の構成資産の一部として世界遺産になっている、重厚で由緒ある別の一面を持った場所でもあるのです。
それは、鎌倉時代までその歴史をさかのぼることができ、往時には世界の銀産出量の約3分の1を産出した日本でその産出量の多くを占めたという「大森銀山」の銀(石見銀)が、中世から近代にかけてこの温泉津温泉の港から輸出されていたからなのです。今は何の変哲もない小さな入り江に面したこの町が戦国から江戸時代の昔に世界とつながっていたかと思うと、自然とわくわくしてきます。
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というわけで編集部おすすめの世界遺産「文化遺産編」をお届けしました。どの世界遺産も大抵そうなのですが、編集部のおすすめは、一人で巡ってみることでしょうか。その理由としては、「自分のペースで見てまわることができる」のも勿論ですが、おしゃべりなどをせずに黙ってその場所にいることで感じられること、気づくことが沢山あるからです。特に築何百年も経っている木造の建造物は、昨日今日建てられた建物からは絶対に感じる事の出来ない空気、時間の厚みのようなものを持っているのを感じることができますし、古来より何万人、何十万人もの人が歩いたであろう歴史的な道には時間の重み、歴史の層のようなものが漂っている気がします。
そういった感覚、感情というのは不思議と、人といる時、特に楽しくおしゃべりしている時には中々感じにくいものであったりするのです。(楽しい旅も勿論大賛成ですが、あくまで世界遺産をじっくり堪能する場合には)理想的には一人旅で、そうでなくとも例えば、世界遺産を見て回る時は個々に、他の場所や食事の時、宿は楽しく友人知人と一緒に、なんていうのはいかがでしょう。それぞれお互いに「何を感じたか」「何を発見したか」を後でシェアすれば、いつもとはまた違った旅、観光になること間違いなしです。ぜひ一度試してみて下さいね。
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