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日本三大瓦の一つ「石州瓦」 赤茶色の屋根が連なる美しい風景

「日本三大瓦(日本三大かわら)」と呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか?愛知県三河地方で製造される「三州瓦(さんしゅうがわら)」、兵庫県南あわじ市で製造される「淡路瓦(あわじがわら)」、そして島根県の石見地方で製造される「石州瓦(せきしゅうがわら)」の三つの瓦のこと。古くは1300年代頃から作られてきたという伝統的な瓦であり、雨風を防ぐために重要な役割を果たす、日本家屋には欠かせない日本の代表的な瓦です。

そのうち、石見地方の良質な陶土を用いて作られる「石州瓦」は、江戸時代初めごろに生産が開始されたといわれる瓦で、「三州瓦」に次ぐ生産量を誇っています。この「石州瓦」は約1200度という高温で焼かれるために、耐久性、耐火性に優れ、特に塩害や凍結に強いことから、北海道や日本海沿岸部の家屋に用いられることも多い瓦です。この瓦の特徴として、出雲地方で採掘される「来待石」という石から作られる「来待(きまち)」という釉薬が用いられることが挙げられるのですが、この「来待」は瓦の耐火性などを高めることに貢献すると共に、もう一つ「石州瓦」に独特の見た目を与えます。それが目に焼き付くような鮮やかな赤茶色。

中国地方の山間部を車で走っていると、この赤茶色の石州瓦を用いた家々が密集する集落や町が、時折目に飛び込んできます。きっと瓦一枚一枚の存在感はそれほどではないのかもしれませんが、何百枚、何千枚といった数量でもって目に飛び込んでくると、それは特別な存在へと変わります。赤茶の「石州瓦」のある風景、その重厚で落ち着いた美しさに毎回驚嘆してしまうのです。特に、周囲の緑の美しい春から梅雨時期頃にかけては、木々の鮮やかな緑色とのコントラストが美しく、毎回目にするたびに感動してしまいます。

そんな「石州瓦」を用いた家々が密集した集落の一つが岡山県高梁市の山の中にあります。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている「吹屋の町並み」と呼ばれている所です。

まだ足を運んだことがない方は、是非一度訪れてみて下さい。往時の賑わいを思わせる美しくも重厚な佇まいの家並み。100年以上前の人々の暮らしを想像するだけで、とても素敵な気持ちになれる所です。

吹屋

吹屋

吹屋

吹屋

吹屋

吹屋

関連ページ:赤銅色の石州瓦とベンガラ格子の吹屋の町並み