足立美術館 日本庭園
世界が認めた日本庭園
のどかな里山風景の広がる島根県安来市にある美術館「足立美術館」。
アメリカの日本庭園専門誌に「日本一の庭園」として20年連続でランキング1位に選ばれていることでも知られる「日本庭園」が有名です。
入場料は2300円と中々お高いですが、(人により評価は異なるとは思いますが日本庭園や美術品が好きであれば)値段に見合う価値のある体験が出来ると思います。
創立者の足立全康氏は、苦労や失敗を重ねながらも持ち前の商才と努力で様々な事業を成功させ、財を成した人。とはいえ、終戦後間も無くの焼け跡の大阪を自転車で走り回っている最中で横山大観の「蓬莱山」の絵を見て感激し、「いつか横山大観の絵を手に入れる」と決心したのが48歳の時といいますから、若い時にトントン拍子に出世して大成功した、という感じではなく、まさに「諦めず、苦労と努力の末に成功を掴んだ」人という印象。
金融や車、不動産などにも手を広げ、ようやく足立美術館が形になりはじめたのが69歳。美術館開館は71歳の時です。その後もしばらくは入館者数が伸びずに10年以上も思い悩んだそうで、その不屈の精神、物事をやり遂げる気持ちの強さは、ただただ敬服するものです。
肝心の美術館ですが、日本庭園の素晴らしさは、掛け値なし。一つ一つの木や石の佇まいも素晴らしく、全体として見た時のバランスも素敵で、借景となっている背後の山との調和も絶妙で、数々見てきた日本庭園の中でもトップクラス。伺う前は「専門誌とはいえ外国で決められたランキング」と少々タカを括っていた気持ちも正直ありましたが、総合的なバランスを見ても、今まで素晴らしいと感じた「二条城二の丸庭園」や「岡山後楽園」「六義園」といった名庭園に決して引けを取らない素晴らしい庭園であると感じました。
庭園は基本建物の窓(すばらしくキレイに磨き上げられています)から眺めるスタイルですが、順路を移動中、時々直接目にすることができます。
また館内には横山大観の絵画の数々(こちらも想像以上に素晴らしいものでした)のほか、北大路魯山人の書画と焼き物もあり、目を引きます。そのほか新進気鋭の作家さん達の作品が数多く展示されているのにも大変好感を持ちました。芸術に対する理解もさることながら、苦労して事業を成してきた人だからこその懐の深さ、温かな人間味の片鱗を感じたようにも思います。
年間入場者数が40万人を超えた1986年、足立氏が87歳の時に現在の天皇陛下もご訪問。年間入場者数が50万人に迫る報告に病床で喜びながら、1990年12月19日に享年92歳で大往生しています。
庭園や展示品の素晴らしさに感動したのに加え、足立全康氏という、強い信念と不屈の精神で物事を成し遂げた人の足跡と功績を知ることが出来たことも、大いなる収穫でした。🐾
〒692-0064 島根県安来市古川町320
足立美術館 日本庭園
Japanese gardens Adachi museum of art
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