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湯島天神で秋を楽しむ方法とは

菅原道真と湯島天神

山手線の御徒町駅から徒歩約10分、東京メトロ千代田線の湯島駅からなら徒歩3分ほどの場所にある湯島天神(湯島天満宮)は、平安時代の貴族であり、学者、漢詩人、そして政治家という顔を持っていた菅原道真を祀る神社です。

道真は右大臣にまでなった人物で、忠臣としても名高かったようですが、政争に巻き込まれて「謀反」の疑いをかけられ、九州の太宰府に流されて無念のうちに没しています。大宰府に流される前に道真が大切にしていた梅の木を前に詠んだといわれる「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春を忘るな(春な忘れそ)」の和歌は有名ですよね。

湯島天神の梅
湯島天神の2月の梅

そんな道真が没した後、どうなったかといえば、道真の推挙を受けて昇進したのにもかかわらず道真が失脚するきっかけを作ったとされる藤原菅根が道真没後5年経った908年(延喜8年)に雷に打たれて亡くなり(病死説もあり)、同じく道真を陥れたとされる太政大臣・藤原時平が40手前の若さで病死するなど立て続けに権力者がなくなり、さらに30年近くたった後の930年(延長8年)、朝議が行われていた清涼殿に雷が落ち、朝廷の要職にあった人々が多く死傷、ほどなくして醍醐天皇も体調を崩して3ヶ月後に崩御したとされています。これらはすべて謀られて無念のうちに亡くなった道真が怨霊となって起こしたものと信じられ、それを鎮めるために神格化されて947年(天暦元年)に京都の北野天満宮にて神として祀られるようになったのだそうです。

北野天満宮北野天満宮

謂れのない罪を着せられ不遇の死を遂げた後、怨霊から神となった菅原道真は、いつしか「学問の神様」として信仰されるようになりました。

全国の天満宮の総本社でもある北野天満宮では厄除けなどと共に学業成就のご利益があるとされて受験シーズンのみならず、数多くの受験生や勉強に勤しむ人が参拝に訪れますが、東京においては 江東区亀戸の「亀戸天神社」および国立市にある「谷保天満宮」と並んで、この「湯島天神」が、年間を通して数多くの受験生や勉学に励む人々が参拝する神社として知られているのです。

菊の花と湯島天神

そんな湯島天神は春先の梅と共に秋の菊で有名です。

毎年11月になると、境内には美しい花を咲かせる菊が所狭しと並べられ、壮観な光景を作り出すのです。

菊人形

都内では珍しい「菊人形」(菊の花や葉をあしらって人形に仕立てたもので江戸時代から続いているといわれるもの)のほか、渡り廊下などには「懸崖」と呼ばれる、崖から垂れ下がるように豪華に仕立て上げられた菊が並べられ、さらに「千輪咲」と呼ばれるいくつもの花々が集まって大きな花が咲いているように見える鉢も並べられます。学問の神様にお参りして、菊の花を観賞する、秋の湯島天神の季節感あふれる素敵なひと時です。

千輪咲

湯島天神の菊祭りの風景

文京菊祭りは例年11月上旬から下旬にかけて行われます。朝は6時から夕方まで。湯島天神は菊祭りの時以外でも、穏やかでとても素敵な神社です。お近くにお越しの際はぜひ足を運んでみてくださいね。
住所:東京都文京区湯島3-30-1
電話:03-3836-0753 文京菊まつり実行委員会事務局 湯島天神
交通:東京メトロ千代田線「湯島」駅3番出口より徒歩約3分
都営地下鉄大江戸線「上野御徒町」駅A4出口から徒歩約5分
JR山手線・京浜東北線「御徒町」駅、徒歩約10分
銀座線「上野広小路」駅から徒歩約5分、丸の内線「本郷3丁目」より徒歩約10分